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【顔のない裸体たち (平野 啓一郎)】
 発行所; 
 名 称; 
 価 格; 円
 サイズ; 
 作・画; 平野 啓一郎






【ストーリ紹介】


<ほん 現代読書灯(ナビ)>文芸*稲葉真弓*ネットや日常の行為に「生の実感」を託す人々
2006.05.14 北海道新聞朝刊全道 11頁 本A (全1,422字)


*「顔のない裸体たち」*平野啓一郎(新潮社 一三六五円)

*「掘るひと」*岩阪恵子(講談社 一六八○円)

 ネットの普及は私たちの前に未知のゾーンを広げつつある。人と簡単に結びつくことができる反面、顔の見えない「他者」が一気に日常に侵入してくる。その侵入者を、どう排除するか。昨今ネットを通じた犯罪が増加、「出会い系」を利用していとも簡単に死を選ぶ若者もいる。そこに本当の人間関係はあるのか。温度のないネットという場所に、我々がこれまで経験したことのないバーチャルな熱気が増殖し始めているのである。

 平野啓一郎「顔のない裸体たち」は、「出会い系サイト」を通じて知りあった男女が抜き差しならぬ関係へと追い込まれていく物語だが、犯罪すれすれの行為がついに臨界点を越え、「事件」として社会の表層にむき出しになっていく過程が克明に描き出される。

 ぱっとしない三十代独身の女性教師と、卑屈で劣等感のかたまりのような市役所勤めの男が主人公。当初から肉欲だけで結びついた彼らの性行為の赤裸々な描写に驚かされる。同時に、実社会における「本当の私」と、ネットの世界だけに存在する「偽名の私」とが、性交を重ねるにつれて境目が曖昧(あいまい)になっていく経緯や、性行為が過激になっていくにつれ、女の上にこれまでなかった充実と自信と優越感が生まれ、それがあたかも彼女の「本性」のように肉体をいきいきと彩り始める場面など。これは女にとって「再生」なのか「崩壊」なのかほとんどぼう然としてしまう。

 それにしても生ぬるい退屈な日常を、ネットにまん延する「熱気」は救うことができるのだろうか。性行為を記録した映像がサイトに流出、それを見ながら女教師がその映像の背後に数万の男の欲望を読み取るシーンは恐ろしい。彼女と相手の男の「歓喜」や「はてなき欲望」は、やがて思い掛けない事件を呼ぶ。ネット上では「他者」「偽者」であった「私」に彼らは激しく裏切られるのである。いまやネットは世界を席巻しているが、そこに張り巡らされた「空虚さ」が寒々と押し寄せる小説だ。

 岩阪恵子「掘るひと」は、さまざまな中年女性たちの日常を描いた短編集。・・ ・・


<略歴>

 いなば・まゆみ 1950年愛知県生まれ。73年「蒼い影の傷みを」で婦人公論女流新人賞、80年「ホテル・ザンビア」で作品賞、92年「エンドレス・ワルツ」で女流文学賞、95年「声の娼婦」で平林たい子文学賞を受賞。著書に「花響」「還流」など。

北海道新聞




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