内緒の思い出2 (その1)
(高校教師♀) … 「新卒教師」他
Aug.26.2005 up
私、現在男女共学の某県立高校で英語教師をしている山村かおりといいます。今、歳は38歳で独身です。今から15年程前から始まる数年間の私の思い出を話します。誰にも話せない「内緒の思い出」です。
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★新卒教師
ある地方の中核都市の公立男子高(U高)、そこに新卒の教師として赴任した。その高校、今でいうセクハラが酷かった。それも、想像もしなかった酷いセクハラだった。
新卒教師なのと、私のこと大人しそうに見えたのとで、生徒になめられてしまった。
廊下でとうせんぼをされたり、身体をじろじろ見られたり、すれ違いざまに身体を触られたり、スカートを派手に捲くられたり、猥褻な言葉を吐かれたり、数え上げたら枚挙に暇がないほど。
酷いときには、後ろからそっと近づいてきた生徒に背後から胸をしつこく揉まれたり、抱きつかれて無理やりキスをされたことも、それに、男子生徒数人に誰もいない教室に連れ込まれそうになり、必死で逃げたこともあった。
また、進学校でないせいか、授業をまともにできることはあまりなかった。
英語の授業中、猥褻な言葉を英語でどういうのかを私に質問して、答えに困る私を見て、生徒たちがニヤニヤして喜んでいた。
先輩教師達は口先だけで、困っている私を助けてくれなかった。セクハラを訴えても「そのうち収まりますよ」とか、「若い女の先生だから仕方がないですよ」とかいうだけ。私が生徒に酷いことされているのに見ない振りして、生徒にきつく注意したりとか全くしない。「単にふざけているだけですよ」という言葉で済まされてしまうことがほとんど。
せいぜい、生徒を職員室に呼んで形式的に注意する程度。
それに、セクハラについていえば、生徒が生徒なら教師も教師で、男性教師の中には色目で私を見る者も確実に何人かはいた。
すれ違いざま身体を寄せてくるとか、何気に身体に触れていくとか。あと、教職員の懇親会でなれなれしく身体に触ってきたり、酔わせて2次会の後、送っていくといって私をホテルに連れ込もうとしたり。そのときは、お酒に酔って朦朧として、気分の悪くなった私を、休んでいくだけだといってホテルに連れ込もうとし、介抱するふりをして身体を触ったり、スカートの中に手を入れたりと・・・
そのときは嘔吐して服を汚してしまったのでなにもされなく助かったけど・・・。でも、そのままラブホテルの前に一人残され、汚れた服で惨めな思いをした。
翌日出勤すると、その男性教師から私の嘔吐で靴を汚されたといっていやみを言われたり、介抱したと恩着せがましくされたり。この教師、妻子持ちのくせになにを考えているのかと思った。
それに、英語担当の先輩教師が、問題のあるクラスを新任の私に押し付けていたことを後で知った。
いままで勉強一筋できた私には戸惑いの連続。
そんなことで、私は身も心もかなりボロボロになっていた。
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★不良生徒からの告白
そんなとき、ある男子生徒(高3)に、付き合いたいって告白された。
その男子生徒はAといい、生徒達ばかりか教師達からも一目置かれる札付きのワル、いわゆる番長だった。
噂で聞いただけだけど、Aは、酒、タバコ、カツ上げは当たり前で、喧嘩を繰り返しているということだ。
また、主婦と付き合っているとかっていう噂も聞いた。
で、そんな不良生徒のAに告白されても困惑するばかり。男子生徒と付き合うことなんて絶対にありえないことで、告白を無視していた。
でもAが返事をせがみ、私に付きまとうようになった。受け取りようによっては私への猛アタックだけど・・・。
でも、男性教師にしつこくされるよりもっといやだった。
本当に教員を辞めようかと何度も考えた。
けれど、Aに付きまとわれ、最初はすごくいやに思ったけど、あることに気がついた。
Aが傍にいると他の生徒たちが私にセクハラをすることは全くないし、Aがいない場合でも、Aのお気に入りということで、私に対するセクハラの数は半分以下に減った。それに、授業もちゃんとできる日が多くなった。
ある日、いつも授業の邪魔をする特定の男子生徒の顔に青あざがあるのを見た。
何でも私にちょっかいを出したことで、Aの手下に酷く殴られたということだ。
以前なら、その生徒の傍を通ろうものなら、触られたりスカートを捲くられたり抱きつかれたりして、傍に行くことはできなかったけど、恐る恐る傍を通ってみた。その生徒、ただじっとしているだけ。私と目をあわそうとしない
本当にAの手下に酷くやられたんだなと思った。
そんな目に遭わされる生徒には可哀想だけど、私は、Aに付きまとわれるのも悪いものではないと考え出した。考えようによっては用心棒のようなものだし。
それで、私をラブホテルに連れ込もうとした妻子持ちの男性教師のことを、以前、身体を触られたり、いやなことされたりで困ったことがあるとか、今も誘われて困っているとAに話すと、Aがその男性教師から、そのようなことは二度としないこと、このことを根にもって仕返しをしないことを誓った誓約書と謝罪の録音テープをとってきた。
それに、その男性教師が私に泣きつかんばかりに謝ってきた。
Aがその男性教師に何をしたのかは聞かなかったけど、その男性教師の顔の表情から、かなりAにとっちめられたんだと思い、胸がすっとした。
あと、私を誰もいない教室に連れ込もうとした生徒たちが土下座をして謝ってきたりで、すごく気持ちがよかった。
なんともAの力には驚きの連続だった。
それと、Aと話してみると、外見と全く異なり、頭もよく人が言っているほどワルには見えない。とても不良グループを取り仕切っているなんて思えない。むしろ好青年にさえ思えてくる。
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★ドライブの誘い
ある日、Aにドライブに誘われた。なんでも免許取ったので誘ってみたということだ。
「初めて助手席に乗せる女性は先生に決めてるんだ」って、リーゼントで決めた頭をポリポリ掻き、はにかみながら私のことを誘うのがかわいく見えた。
でも、女教師の私が問題のある男子生徒とドライブするなんてできないし、その一方でいつもよくしてくれるAの誘いをむげに断ることもできない。それで返事を先延ばしにしていた。
でも私、いつしかAのこと、単なる不良生徒でなくよい面がたくさんある生徒と思う心が強くなり、4度目か5度目にドライブに誘われたときは断ることができなく、とうとう「いいわよ」って、ドライブの誘いを承諾した。
私のOKの返事に、Aは飛び上がって喜んだ。
でも、このこと絶対に内緒ということを約束させた。
Aとのドライブの朝、不良生徒と二人きりのドライブを不安に思いながらも、鏡の前で普段できないお化粧を念入りにして、普段学校では着れないような綺麗な服を着た。
待ち合わせ場所に行くと、時間のかなり前なのにAが待っていた。
Aは、リーゼントにギラギラの服で、いかにも街の突っ張り兄ちゃんというような格好なので、ちょっと引いてしまった。でもAはそんな私を見つけると、満面に笑みを浮かべて近づいてきた。そんなに大きくないAの目がいっそう細くなってる。
「すげー、先生、俺のためにお化粧してきてくれたんだね。それにすごく綺麗な服で…」
Aが私の身体を上から下まで「へー」っていうように眺める。
「それにすごくいい匂いがする」といって、私の身体に鼻を近づけクンクンと嗅ぐ。
「先生、やっぱ美人だよ。それも思った以上の! ほんとに清純天使みたい!」
Aのその言葉、嬉しかったけど、でもそれ以上にすごく恥ずかしかった。
「先生、さー、乗って、乗って 二人きりのデート開始だよ」といって、近くに停めてあるAの車に私を導いていく。
Aの車は改造車のようで、外装も内装もかなり普通の車とは違ってる。
「先生すげーしょこの車」
なんでも、父親に買ってもらったソアラの車高を低くした改造車(シャコタン)ということだ。
Aには自慢の車だけど、ちょっと乗るのが恥ずかしかった。おんぼろって言うわけじゃなくて、お金がかかっている車だとは思うけど、「すげーしょ」というAの言葉の返事に困ってしまった。
Aに促され車に乗り込む。今まで自分の見たことのない世界が車の中にある。ハデハデの内装にびっくり。
「先生、びっくりした? 初めてだよねこんな車。 先生って真面目そうだからこんな車乗ったことないでしょ。何事も経験だよ!」
Aが目をさらに細くして笑みを浮かべる。
AがイグニッションSWをONすると、おなかの中にまで響くような低い爆音がし始めた。
「いくよ」
その言葉と同時にAがスロットルをONすると、爆音とともにびっくりするほどの勢いで加速してゆく。
怖くなって、「だめ安全運転でなきゃ」と私
Aがうなずき、「先生との初デートで事故起こしたなんて目も当てられないから今日は安全運転でいくよ」と、スロットルを緩める。
高速道路を使って、学校関係者がいないような少し遠くの観光地にドライブに行った。
途中Aがタバコを吸いたそうにしたけど、「だめよ、これでも私教師なんだからね」と
「だよね、でもまいったなー」
Aが困った顔をする。
「我慢なさいね」
その言葉にAが頷く。
到着した観光地では、Aが私の手作りのお弁当が食べたいというので、作ってきたお弁当を芝生の上で広げて、二人で食べた。
「先生、おいしいよ! こんなおいしいもの食べたの今までにないよ」
お世辞に決まっているけど、でも気持ちいい食べっぷりで感心してしまう。
食べ終わると、「ねー先生、ちょっとニコチンが切れちゃって・・・」そういうとAが、内緒だよって感じで私の前から消えた。
やっぱり、教師の私に遠慮してるんだと思った。
でも、ちょっと大人しそうな私と、柄の悪い高校生といった感じのAとの変な組み合わせ、周りの人たちにはどう見えてるのか、ふと心配になった。
みんな、新卒の高校教師(23歳♀)と、同じ高校の不良生徒(18歳♂)の二人きりのドライブだなんて知ったら、びっくりするだろうし、変に思うだろうなと心配になった。
けど、お昼の後に行った遊園地では、そんなこと忘れて、久々に童心にかえって楽しめた。
それで、あっという間に時間が過ぎていった。
帰りに海岸に寄っていこうということで、夕方の海岸、二人肩を並べて座って海を眺めていると、なぜかロマンチックな気分になり、Aが彼氏のように思えてきた。
もしかして私、Aとこのままお付き合を始めちゃうの? そんなことはないよね! だって私は教師で、Aは生徒なんだから…、 思わず首を左右に小さく振った。
それで、その日はもう遅いから帰りましょうということで何事もなく帰宅した。
別れ際、またドライブしたいというので、「考えておくわ」と返事した。
それからAに誘われるまま2度、二人きりでドライブした。
2度目のドライブのときは、Aが手をつないで歩きたいというから、目的地に着くとAと手をつないで歩いた。
私が不良生徒のAと仲良く手をつないで歩いてるなんて、他の生徒たちや教師たち知ったらびっくりするだろうな。
それを考えると、みんなに悪い気がした。
でもAはうきうきしていて、卒業したら東京に出て美容師になるということを盛んに話していた。
自分が美容師になるなんて、周りに笑われると思うからしばらく内緒にしてほしいってぺこりと頭を下げる。
Aによると、美容師って、「パーマ、髪結い、化粧等で容姿を美しくすること」を生業とする職業で、高校卒業してから美容師養成学校に入学することが必要らしい。
で、Aは、「高校を卒業したら東京に出て一流の美容師になるんだ!」と、熱く話す。
そして、「成功したら先生呼んで一緒に暮らすのが夢なんだ」と、テレながら話しを続ける。
これって、プロポーズの言葉? 私、困惑して、「いい美容師さんになるといいわね」と答えるだけ。
つづくかな?
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