「女教師研究所データベース」


 (い) 淫行 (淫行に関する注目の判決 [非女教師情報] )


淫行  → 18歳未満の青少年とのみだらな行為


 18歳未満の青少年との性行為、淫行になる場合と、ならない場合とがある。その境界を調べてみた。

 東京都では、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」があり、警視庁は、この条例の18条の6に対応して、「淫行」、すなわち「18歳未満の青少年とのみだらな性交又は性交類似行為」を、HPにて次のように定義している。

(警視庁HPからの抜粋)
 「みだらな性交又は性交類似行為」とは、 青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交 又は 性交類似行為 のほか、 青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交 又は 性交類似行為 をいいます。
 なお、婚約中の青少年又はこれに準ずる真摯な交際関係にある場合は含みません。
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/seian/deai/inkoj.htm

 この警視庁のHPの上記定義は、1985年の「福岡県青少年保護育成条例事件」における最高裁(大法廷)の判決に準拠したものです。ちなみに、最高裁の判決では、「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為としています。

 この最高裁大法廷の判決を踏まえて、下の記事をお読みください。

     【ポイント】
        @ 18歳未満との交際は、真摯なものであればOK
        A 13歳未満(12歳以下)とは、理由はなんであれダメ





(2007.10) インターネットで知り合った男性会社員と12歳小学女児の件
 インターネットで知り合った長崎県諫早市の小学6年の女児(12)を誘拐したとして、長崎地検は、大阪市福島区の会社員、坂本優介容疑者(20)を起訴した。合意があったのに、別の事件では不起訴となり、この事件では起訴となった。この違いは、未成年者の年齢による。  つまり、恋愛感情の『合意』があっても、13歳未満だと話が変わってくる。
⇒ 大 人; 20歳、会社員の男
  青少年; 12歳、小学校6年の女児


12歳誘拐罪で20歳を起訴 恋愛と犯罪の境目は年齢?
 インターネットで知り合った長崎県諫早市の小学6年の女児(12)を誘拐したとして、長崎地検は2日、大阪市の20歳の男を営利等目的誘拐の罪で起訴した。男は「女児が高校を卒業したら結婚するつもりだった」と供述。家に連れ帰ったのも合意の上だったとして、「誘拐」に問われることに反発しているという。同じ未成年者との「恋愛」を巡る事件でも、合意を理由に無罪や不起訴になったケースも。起訴の根拠になったのは、12歳という女児の年齢だった。
      ◇
 起訴されたのは、大阪市福島区の会社員、坂本優介容疑者(20)。
 接見した弁護士によると、2人は8月初めに知り合った。アニメキャラクターについて語り合うインターネットのチャットルームで意気投合。坂本容疑者が〈好きです〉とメッセージを送ると、1週間後、返事が来た。〈私も好きになったみたい〉。女児は〈もう家を出たい〉と家庭の悩みを打ち明け、坂本容疑者は〈部屋が空いてるよ。大阪だけど〉と誘った。
 10月6日、女児は置き手紙をして自宅を出て大阪へ。坂本容疑者の自宅マンションで8日間の共同生活が始まった。坂本容疑者は一つしかない鍵を女児に預け、生活費を渡した。女児は弁当を作り、夕食を用意した。
 逮捕後、坂本容疑者は弁護士に「無理やり連れて行ったのではなく、誘拐とは言われたくない」と訴えたという。女児も、保護された際「お兄ちゃんは悪くない」と話したとされる。
 過去には合意が存在して罪に問われなかった例がある。佐賀区検は10月、元教え子(16)と関係を持ったとして県青少年健全育成条例違反で逮捕された佐賀県の女性教諭=懲戒免職=を、淫行(いんこう)については不起訴にした。相手方の同意があったといい、「年齢差や教師という立場を考慮しても起訴はためらわれた」。少女(17)と関係した男性を、双方に恋愛感情があるとして無罪とした5月の名古屋簡裁判決も判断の材料になった。
 性犯罪に関する刑法の規定では、相手が13歳未満の場合、たとえ同意があっても処罰の対象となる。まだ意味を正しく理解して法的に有効な同意をする能力がないとみなされるためだ。
 今回の事件で、長崎地検の仁田裕也次席検事は「相手は12歳。甘い言葉でたぶらかしており、誘拐にあたる。男は事実関係を認め、犯罪の構成要件を満たす。本当に女児を心配していたなら家に帰せばいい」と語った。
 独協大学の名和鉄郎教授(刑法)は「長崎地検の判断は妥当だ。ただ、一般論としては親元を離れた方がその子の健康や安全が守られる場合もないとは言えない。家庭環境が多様化し、年齢だけで判断できる時代ではなくなった」と話した。
asahi.com 2007年11月02日
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200711020072.html




(2007.09) 佐賀市立中学校の女性教諭と元教え子の件
 佐賀県青少年健全育成条例における淫行容疑で2007年9月27日逮捕された佐賀市立昭栄中学校の女性教諭は、処分保留の後、不起訴とされた。女性教諭と未成年の元教え子は、単に『合意』があっただけではなく、最高裁の判例に基づく、真摯な付き合いをしていたと警察・検察が判断したためと考える。
 つまり、単に『合意』があっただけでは、淫行とされる。この点について、世間一般に非常に大きな誤解があると思う。
⇒ 大 人; 42歳既婚の女性中学校教諭(夫子あり)
  青少年; 16歳男子高校生(男子高校生が中学3年の9月から肉体関係)


県青少年健全育成条例違反:生徒と性行為 容疑の元女性教諭、不起訴 /佐賀
 佐賀地検は31日、中学校の元教え子の男子高校生(当時16歳)と性行為をしたとして、県青少年健全育成条例(みだらな性行為の禁止)違反の疑いで逮捕された小城市の元女性教諭(42)を不起訴とした。「犯罪の成立というには問題がある」と判断した。
 元教え子と深夜同伴したことについて、10月17日に同条例違反で罰金10万円の略式命令を受けたが、性行為の容疑については処分保留となっていた。元女性教諭は19日付で県教委から懲戒免職処分を受けた。
11月1日15時2分配信 毎日新聞(11月1日朝刊 )
http://mainichi.jp/area/saga/news/20071101ddlk41040325000c.html

  (高校生編)参照




(2007.05) 名古屋簡易裁判所の淫行無罪判決
 簡易裁判所レベルではあるが、名古屋簡易裁判所で、真摯な付き合いであれば、18歳未満の青少年との性行為であっても、淫行には該当しないとの無罪判決が示された。
 その後、この無罪判決は確定し、男性は、国家賠償法に基づいて、国と県に計500万円の損害賠償を求める訴えを起こした。
⇒ 大人; 32歳既婚会社員男性(妻子あり)、  青少年; 17歳女子高生


「恋愛」認め、無罪 17歳女子高生と「関係」の男性 名古屋簡裁
 当時高校3年生で17歳だった少女と昨年7月、少女が18歳未満であると知りながらホテルで性的行為をしたとして、愛知県青少年保護育成条例(淫行<いんこう>の禁止)違反の罪に問われた、同県春日井市の会社員男性(32)に対し、名古屋簡裁は23日、無罪の判決を言い渡した。検察側は罰金40万円を求刑していたが、山本正名裁判官は「真摯(しんし)な交際を続けており、自己の性的欲望を満たす目的だけとは言えず、犯罪の証明がない」と述べた。
 判決によると、男性は昨年2月、副店長を務めていた飲食店で、アルバイトをしていた少女と知り合い、同4月ごろからデートを重ねるなど交際。同6月以降、名古屋市内のホテルで7回にわたり少女と性的行為をした。当時、男性は妊娠中の妻と子との3人暮らしだったが、判決では「少女はそうした事情を納得したうえで、互いに恋愛感情から求め合った」と指摘。検察側の「被告は少女の上司である立場を利用して関係を迫った」などの主張を退けた。
 山本裁判官は判決言い渡し後、男性に「あなたのやったことを世間に推奨する判決ではない。法令で許されることが、道徳的には許されないこともあるということをよく考えてください」と語りかけた。
朝日新聞社 2007.05.24 東京朝刊 39頁 1社会


女子高生と「関係」の男性 恋愛認め無罪 名古屋簡裁
 当時高校3年生で17歳だった少女と昨年7月、少女が18歳未満であると知りながらホテルで性的行為をしたとして、愛知県青少年保護育成条例(淫行(いんこう)の禁止)違反の罪に問われた、同県春日井市の会社員男性(32)に対し、名古屋簡裁は23日、無罪の判決を言い渡した。検察側は罰金40万円を求刑していたが、山本正名裁判官は「真摯(しんし)な交際を続けており、自己の性的欲望を満たす目的だけとは言えず、犯罪の証明がない」と述べた。
 判決によると、男性は昨年2月、副店長を務めていた飲食店で、アルバイトをしていた少女と知り合い、同4月ごろからデートを重ねるなど交際。同6月以降、名古屋市内のホテルで7回にわたり少女と性的行為をした。当時、男性は妊娠中の妻と子との3人暮らしだったが、判決では「少女はそうした事情を納得したうえで、互いに恋愛感情から求め合った」「単に反倫理的、不純だというだけでは処罰の対象とならない」と指摘。検察側の「被告は少女の上司である立場を利用して関係を迫った」などの主張を「具体的事実が認められない」と退けた。
 起訴状では、少女が18歳未満であると知りながら、単に自己の性的欲望を満たす目的で性交し、淫行したとされる。
 津熊寅雄・名古屋地検次席検事の話 意外な判決だ。判決内容を詳細に検討した上で、適正に対応したい。
asahi.com 2007年05月24日01時54分


無罪 女子高生と淫行
 18歳未満の女子高生と知りながら性的行為をしたとして、愛知県青少年保護育成条例違反罪に問われた同県の会社員の男性(32)に対する判決公判が23日、名古屋簡裁で開かれた。山本正名裁判官は「真摯(しんし)に交際していた。犯罪の証明がない」として、無罪(求刑・罰金40万円)を言い渡した。
 男性は昨年7月、性的欲望を満たす目的で女子高生=当時(17)=と性的行為をしたとして、逮捕・起訴された。
 山本裁判官は判決理由で、職場のアルバイトの女子高生と2人で映画を見るなど、交際する中での性交渉だったと指摘。「年齢や交際状況、時代の変化を客観的に判断する必要がある」と述べた。
産経新聞社 2007.05.24 大阪朝刊 31頁 第1社会


(もっと知りたい!)「恋愛」と「淫行」の境目は 互いの感情、真剣と認定
 職場で知り合ったアルバイトの女子高校生と深い仲になり、淫行(いんこう)の罪に問われた男性には、妻子がいた。しかし、法廷で「真剣な交際だった」と訴えた。判決は無罪。「恋愛」と「みだらな行為」の線引きはどこにあるのか。(花野雄太)
 昨年2月、居酒屋チェーンの副店長になった愛知県の男性(32)は接客係のアルバイト少女(当時17)と知り合った。「てきぱきと働き、笑顔も良く、勤務の空き時間におしゃべりをするうち次第に好きになっていった」(公判での男性の陳述)
 関係が深まったのは同年5月ごろ。キタキツネと少年の交流を描いた映画「子ぎつねヘレン」を見に行き、感動して泣いた少女に好意を抱き、帰りの車中でキスをした。
 その後、頻繁にメール交換やデートを重ねた。6月以降7回、名古屋市内のホテルで少女と関係を持った。
 7月、少女の母親が少女を問いただして交際が発覚。男性は自宅を訪れて謝ったが、母親は許さなかった。母親に伴われた少女側が8月下旬に被害届を出し、男性は瀬戸署に県青少年保護育成条例違反(淫行の禁止)の疑いで逮捕された。
 取り調べでは容疑を認め、いったん略式起訴されたが、男性側は「真剣な気持ちで付き合っていた」として無罪を主張。正式裁判に移行した。
     *
 「恋愛」と「淫行」の境目はどこにあるのか。
 85年の最高裁大法廷判決が、その大枠の基準を示している。
 それによれば、「淫行」は性行為一般を指すものではない。(1)青少年を誘惑、脅迫するなど不当な手段で行う(2)単に自己の性的欲望を満足させるための対象としているとしか認められない、の2類型に絞られる。処罰範囲が不当に広がることに枠をはめた。
 相手の女性が一定年齢未満なら直ちに淫行、となるわけでもない。今回、主に争点となったのは(2)の部分だった。
 名古屋簡裁の山本正名裁判官は、この判例をもとに違法性を検討して判示した。
 「世上言われる妻子ある男の浮気、不倫であり、道徳的に非難されるべきことには異論がない」。だが、「それゆえに直ちに『単に自己の性的欲望を満たすだけの目的』の交際だったとまで言い切れない」。
 理由は、こうだ。
 (1)一定期間付き合いがあり、双方に恋愛感情が生じ人格的交流があった
 (2)少女は、妻子ある男性と承知しながら、合意の上で性行為に至った
 少女は警察の調べに、「一緒にいて波長が合う」。男性に電話をして「母に連れられて被害届を出したが、私の方から出すつもりはなかった」と話していたとの事実も、判決で認定された。
 検察側は「上司の立場を利用して関係を迫った」とも主張したが、判決は、互いに恋愛感情を抱いていたと認定して検察側の主張を退けた。
 民法では、女子は親権者の同意があれば16歳から結婚できる。そのことも考慮しなければならない、と判決は説いた。
 近年の結婚観や男女交際観の多様化を挙げ、「『結婚を前提としない』ことだけを取り上げて真摯(しんし)な交際でないと断じることは難しい」とも指摘している。
 法曹関係者によると、条例違反(淫行)罪での無罪は極めて異例。「妻子持ちなら淫行に問える」という捜査現場の常識を覆す判決に、検察側は控訴すべきか検討を続けている。
     *
 事件当時、男性の妻は2人目の子を妊娠中で、公判中に出産した。男性は、逮捕を機に少女と別れ、冷えてしまった夫婦関係を修復中だという。
 「彼女との関係は思い出として胸の中でいつか小さくなっていく。だが、妻との関係、2人の子どもは、これから確実に大きくなっていく」。裁判官はそう説諭した。
 ○これまで
 名古屋簡裁は5月23日、17歳の少女との性行為で愛知県青少年保護育成条例違反(淫行の禁止)の罪に問われた男性に無罪を言い渡した。同条例は「何人も18歳未満の青少年に対して淫行またはわいせつ行為をしてはならない」と定める。同様の条例は長野を除く全都道府県にあるが、対象を「不当な手段」による性行為に限定する条例もある。
朝日新聞社 2007.06.03 東京朝刊 33頁 3社会 写図有


性行為無罪で賠償を請求−女子高生と交際の男性提訴
 18歳未満の女子高生との性行為で逮捕、起訴された後、真剣な交際だったとして無罪が確定した愛知県春日井市の男性(32)が、不当な逮捕などで精神的な苦痛を受けたとして、国家賠償法に基づき国と県に計500万円の損害賠償を求める訴訟を名古屋地裁に起こしたことが21日、分かった。
 訴状によると、男性は昨年5月ごろ、勤務先の飲食店で知り合ったアルバイトの高校3年の女子生徒=当時(17)=と交際を始め、性的関係を持った。交際を知った母親らが生徒に無理やり被害を申告させ、県警は県青少年保護育成条例違反の疑いで男性を逮捕、名古屋区検が略式起訴した。
 名古屋簡裁は今年5月、「2人には恋愛感情があり、真剣に交際していた」として無罪を言い渡した。
 弁護士は「最高裁判例では、淫行について自己の性的欲望を満たすことだけを目的としており、男性の行為が条例違反でないことは明白だった」と批判。
北国新聞・富山新聞 国内ニュース 2007年9月21日
http://www.hokkoku.co.jp/newspack/syakai2007092101000786.html





(2006.02) 17年前の交際で懲戒免職 ⇒ 後に、一審・二審とも処分取り消しの判決により復職
 この事件、佐賀県の中学校教諭(42歳)が、中学3年の時に担任だった当時15歳の女子高校生と1989年4月ごろから交際、同年8月から91年5月ごろまで性的関係を持ったことを、17年後に、元女子高生の同僚とやらの男が教諭に謝罪を求めたが、応じてもらえなかったので教育委員会にチクったという、なんとも情けないチクリ男により蒸し返されたもの。
⇒ 大人; 当時20代の男性教諭、  青少年; 当時女子高生
(追加情報) 二審の福岡高裁でも懲戒免職の処分を取り消す判決がでた(2007.07.27)。妥当なところ。最高裁で争っても逆転の可能性はないのでは!、と思う。在学中ならともかく卒業後の真摯な交際だし、それに、あまりにも時間が経っている。それを蒸し返すのは無情としかいいようがない。
 チクリ男を訴え、損害賠償請求するのがよいかと


17年前の交際で懲戒免職 中学教諭を佐賀県教委
 佐賀県教育委員会は10日、元教え子と約17年前から2年間交際したなどとして、県内の中学の男性教諭(42)を懲戒免職処分にした。
 県教委は「17年前とはいえ、あってはならないこと。反省もしておらず、教壇に立たせるわけにはいかない」と説明。教諭は「法に違反する行為ではなく、教諭として許されない行為ではない」と話しているという。
 県教委によると、教諭は中学3年の時に担任だった当時15歳の女子高校生と1989年4月ごろから交際。同年8月から91年5月ごろまで性的関係を持ったが、うわさが広まり関係を断った。
 元女子高生の同僚の男性が昨年7月に教諭に謝罪を求め、9月に県教委にも連絡したことから発覚。県教委は教諭に諭旨免職を打診したが断られ、懲戒免職にした。
(共同通信) -2006年 2月10日18時43分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060210-00000203-kyodo-soci


不服申し立て:教え子との交際、懲戒免の元教諭「純粋な恋愛だった」 /佐賀
 17年前に教え子と恋愛し性的関係を持ったことが発覚し、今年2月10日に懲戒免職処分となった佐賀市大和町の市立中学校の元男性教諭(42)が、同月末、県人事委員会に処分の不服を申し立てたことが分かった。同委員会が30日以内に結論を出さない場合、元教諭は県教委に対し処分取り消しを求める民事訴訟を起こす予定。
 元教諭の弁護人は「先生と生徒が結婚する例はいくらでもあり、教え子との純粋な恋愛を禁じる法律や条例もない。2人の関係は当時、互いの両親も認めていた真剣なもの」と主張している。
 県教委の発表によると、元教諭は旧小城郡内の中学に勤務していた89年4月ごろ、高校に進学した教え子の女子生徒(当時15歳、現在32歳)と交際を始めた。同8月に性的な関係を持ち、91年5月まで交際を続けた。その後、05年7月になって、女性の職場の同僚男性が中学に電話し謝罪を求めたことで、過去の交際の事実が発覚。「教え子との性交渉が公務員の信用失墜行為に当たる」と判断し、処分を下した。
 弁護人ら男性の関係者によると、元教諭と女性は、別れた後も年賀状を交わし、同窓会でも顔を合わせていた。また元教諭は女性の結婚式にも招待されており、良好な関係が続いていたという。朴鐘珠
毎日新聞 2006年3月3日朝刊
佐賀ニュース(毎日新聞) - 3月3日14時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060303-00000202-mailo-l41
【参考】 記者の「朴鐘珠」に注目


懲戒免職:元教諭の処分、重すぎで取り消す判決−−佐賀地裁 /佐賀
 ◇17年前生徒と性的関係発覚
 17年前教え子と恋愛し性的な関係を持ったとして、懲戒免職処分となった佐賀市大和町の市立中学校の元男性教諭(43)=同市兵庫町=が、県に処分取り消しを求めていた民事裁判の判決が19日、佐賀地裁であった。神山隆一裁判長は「処分は重すぎ、裁量権を乱用した違法なもの」とし、処分取り消しを認める判決を下した。
 判決文などによると、元教諭は89年から3年半、中学の教え子で当時15歳の女子高校生と交際、性的関係を持った。交際終了後の05年、教え子の知人男性が抗議文を県教委に提出して発覚。県教委は「信用失墜行為にあたる」とし、06年2月、懲戒免職処分にした。
 判決では、女子高校生との性交渉は「国民の信頼を失墜させることは明らか」と指摘。しかし、交際時、処分されずに長期間経過し、その後、原告が授業などに対して真剣に取り組んでいることなどから同地裁は「社会観念上、妥当を欠いた処分」と判断した。判決後、元教諭は「ほっとしている」と話した。県教委の吉野健二教育長は「判決の内容を検討した上で対応を考えたい」とコメントした。【高芝菜穂子】
毎日新聞 2007年1月20日朝刊
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070120-00000229-mailo-l41
【参考】 記者が「朴鐘珠」ではなくなった


佐賀の元教諭訴訟:教え子と交際 懲戒免職処分を2審も取り消し /佐賀
 教え子と交際したとして懲戒免職になった佐賀市の元中学校男性教諭(43)が、県に処分の取り消しを求めた訴訟の控訴審の判決が27日、福岡高裁であった。牧弘二裁判長は「みだらな性行為があったとは認定できず、交際が終了してから14年余りも経過しており、懲戒処分は社会通念上著しく妥当性を欠いており違法」として県側の控訴を棄却した。
 判決によると、元教諭は89年4月〜91年10月ごろ、当時女子高生だった教え子と交際していた。05年になって教え子の知人男性が県教委に抗議文を提出し問題が発覚。県教委は06年2月に懲戒免職にした。
 安永宏・県教育委員長は「主張が認められず大変残念。今後の対応は判決内容を十分検討して決めたい」と話している。
2007年7月28日15時0分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070728-00000218-mailo-l41
【参考】 「朴鐘珠」は飛ばされたのか?
      あの不遜な態度は誰の共感も得ることができないと思う。


県教委が上告断念 元教え子との交際処分訴訟
佐賀新聞 2007年8月8日
 元教え子の女子高校生と交際し性的関係を持ったことを理由に、県教委から懲戒免職とされた中学教諭の男性が処分取り消しを求めた訴訟で、県教委は8日、請求を認め県教委側の控訴を棄却した福岡高裁判決を受け入れ、上告しないことを決めた。
 上告しない理由について、県教委の安永宏教育委員長は会見で、「裁判所の判断を謙虚に受け止めざるをえない」と説明した。
 これにより上告期限の翌日にあたる11日、中学教諭は処分を受けた2006年2月当時の学校に“復職”。ことし8月までの約1年半も、教諭の身分があるとして、県教委はこの期間の給与相当分を支払う。今後の処遇については、本人などと協議する。
 安永教育委員長は、「免職処分は妥当性を欠くと判断されたが、教え子と交際するという行為自体は裁判でも厳しく指弾されている」と述べ、停職など免職処分に代わる新たな処分を検討する考えを示した。
 男性は弁護士を通じ「裁判がこれ以上長引かず、良かった」とコメントした。
 男性は受け持ったクラスの女子生徒と、卒業後の1989年から91年まで交際。県教委への通報で2005年に交際が発覚した後、免職となった。一、二審とも「交際を終え14年を過ぎての処分は懲戒権の乱用」と指摘した。
http://www.saga-s.co.jp/view.php?pageId=1036&blockId=577409&newsMode=article


懲戒処分:元教え子と性的関係、免職取り消しの教諭を停職処分 /佐賀
 高校生だった元教え子の女子生徒と交際し、性的関係を持ったとして懲戒免職処分となり、訴訟で勝訴して処分が取り消された佐賀市立中学校の男性教諭(43)に対し、県教委は21日、臨時教委を開き、改めて22日から停職6カ月の懲戒処分を決めた。教諭は受け入れる方針という。
 県教委は「裁判でも懲戒処分は否定されておらず、県職員懲戒条例で免職の次に重い処分にした」と判断理由を示した。
 7月の福岡高裁判決では県の控訴を棄却。県は上告を断念し、今月10日に同教諭の勝訴が確定し、免職は取り消されていた。
8月22日17時1分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070822-00000214-mailo-l41




(1985.10) 福岡県青少年保護育成条例事件 ⇒ 淫行条例は合憲・ただし淫行の範囲を制限
 福岡県内の店員が16歳の少女と性的関係を結んで福岡県青少年保護育成条例違反とされた事件で、1審・2審とも有罪とされた被告が、条例は憲法違反であると主張し、最高裁で条例の合憲・違憲が判断された。
 最高裁の大法廷は、条例は合憲であると判断し被告の有罪が確定した。しかし、「淫行」の範囲について制限を加えた。
⇒ 大人; 当時30歳の男性、  青少年; 当時16歳の女子高生


青少年育成条例のわいせつ規定、最高裁大法廷で憲法判断へ
 十六歳の少女と性関係を結んで福岡県青少年保護育成条例違反に問われた同県内の店員が、「民法で結婚が認められている十六歳の少女との合意のうえでの関係まで処罰するのは、個人の尊厳を保障した憲法一三条などに違反する」として争っている刑事事件について、最高裁は三日、第一小法廷(角田礼次郎裁判長ら五裁判官で構成)から大法廷(裁判長・寺田治郎長官以下十五裁判官全員で構成)に移して審理することを決め、関係者に通知した。
 青少年の健全育成や保護のために、長野県を除く全国の各都道府県は、有害図書の販売制限などを盛り込んだ青少年保護条例を制定しているが、この中で東京、千葉以外の四十四道府県(うち島根は今年七月一日から施行)の条例が、十八歳未満の未成年者に対する淫(いん)行やみだらな性行為を禁止する処罰規定を設けている。この処罰規定の合、違憲性が正面から争われたのはこの裁判が初めてで、最高裁の憲法判断が注目される。上告しているのは、福岡県遠賀郡遠賀町上別府、店員重藤真被告(29)。
 重藤被告は、五十六年七月十三日、遠賀町内のホテルで当時十六歳の少女と関係、「何人も、(十八歳未満の)青少年に対し、淫行、わいせつの行為をしてはならない」とした福岡県青少年保護育成条例第一〇条違反に当たる、として起訴された。
 これに対し、重藤被告は、(1)「淫行」という言葉は極めてあいまい。純粋な気持ちで、合意のうえで行った性行為についてまで県が禁止、処罰するのは、憲法一三条などに違反する(2)この処罰規定は一部都県では設けられていないうえ、設けている道府県でも刑罰が異なっており、法の下の平等を保障した憲法一四条に違反する−−などとし、無罪を求めた。
 しかし、一審の小倉簡裁は五十六年十二月、これらの主張に判断を示さないまま、罰金五万円の有罪判決を言い渡したため、被告側が控訴。二審の福岡高裁は五十七年三月、「心身の未成熟な青少年に対して淫行が悪影響を与えることが多いことに照らすと、各地方公共団体がその地域の実情に応じて条例で未成年者との淫行を禁止、処罰しているのは合理的」として一審判決を支持、控訴を棄却したため、被告側が上告していた。
朝日新聞社 1985.04.04 東京朝刊 3頁 3総


青少年保護条例の合・違憲論争、最高裁で少女との性めぐり弁論
 18歳未満の少女とみだらな性関係を結ぶことを禁じた福岡県青少年保護育成条例の「淫(いん)行」処罰規定の合、違憲性が争われている刑事事件について、最高裁大法廷(裁判長・寺田治郎長官)は18日午前、上告審の口頭弁論を開いた。弁護側は「性行為は本来自由なものであり、相手が未成年者であろうと、結婚を前提とした性関係まで罰するのは個人の尊厳を保障した憲法13条に違反する」などと述べて、1、2審の有罪判決(罰金5万円)を破棄し、被告を無罪とするよう主張。これに対し検察側は「同処罰規定には合理性、相当性があり、合憲」と反論、上告棄却を求める弁論を行い、同日正午前、結審した。
 青少年の健全育成を目的とする「青少年保護条例」は、長野県を除く全国の46都道府県で制定され、うち、東京、千葉以外の44道府県がその条例の中に、18歳未満の未成年者とみだらな行為をした者に対しての処罰規定を設けている。判決は10月末にも言い渡される見通しだが、この処罰規定について最高裁の初の憲法判断が示されるのは確実で、性情報がはんらんし、性非行の低年齢化が進む中、同規定を適用した取り締まりのあり方などにかなりの影響を与えるものとなりそうだ。
 被告は、当時、福岡県遠賀町の店員(30)。56年7月、遠賀町内のホテルで当時16歳の女高生と性関係を結んだことが、「何人も(18歳未満の)青少年に対し淫行、わいせつの行為をしてはならない」と定めた福岡県青少年保護育成条例10条違反に当たるとして起訴され、1審の小倉簡裁、2審の福岡高裁とも有罪判決を言い渡したため、被告側が上告。ことし4月、第1小法廷から大法廷に移され、審理が進められていた。
 この日の弁論は、15裁判官が並ぶ中、午前10時半きっかりに始まり、まず、弁護人(国選)の立田広成弁護士が「個人の尊厳は『公共の福祉』の制約を受けるが、その制約は明確、かつ必要最小限のものでなければならない」と主張。そのうえで(1)同処罰規定の「淫行」という言葉は極めてあいまいで、罪刑法定主義を定めた憲法31条違反(2)児童福祉法や刑法で処罰の対象となっていない、自由意思による性行為まで罰するのは、処罰の相当性、合理性を欠いているうえ、「法律の範囲内での条例制定」を定めた憲法94条にも違反するもので無効−−と述べた。
 これに対し検察側は、鈴木義男・最高検公判部長が陳述に立ち、その中で、「『淫行』という言葉は、性道徳上認められないような態様での性的行為を指すもので、健全な常識を有する一般社会人を基準とする限り、その不明確性を問題とする余地はない」と反論。続いて、最近の各種統計を挙げ、少女の性非行の増加、大人の少女に対する性的節度の緩みが進んでいることを強調し、「この処罰規定は、それぞれの地域の実情に応じ、青少年の健全育成にとって有害な状況を除去するために制定されているものであり、十分な合理性と必要性とを備えている」と述べた。
 <青少年条例の「淫行」処罰規定>
 児童の健全育成をはかるため、刑法、児童福祉法は、青少年との「みだらな行為」を処罰する規定を設けている。しかし、刑法は、13歳以上の少年に対する行為については、暴行、脅迫を伴う場合などに限定。また、児童福祉法も、当事者の自由意思に基づく行為は処罰対象から外している。これに対し、少年の性非行が社会問題化した昭和30年代、一部の県が、この法規定を補う目的で、合意の有無を問わず相手方を処罰する規定を、本来、有害図書の販売制限などを目的に制定していた青少年保護条例に追加。その後、多くの道府県がこれにならい、現在では、東京、千葉、それに条例そのものを設けていない長野県を除く全国44道府県がこの規定を設けた。この規定により59年度だけで、4500余人が検挙、送検されている。
朝日新聞社 1985.09.18 東京夕刊 14頁 2社


少女との「性」すべて犯罪か 23日に初めて憲法判断
 18歳未満の少女らとの「性」は、多くの場合「犯罪」となる。東京などを除くほとんどの道府県の青少年保護条例で、相手方を処罰するいわゆる「淫行(いんこう)処罰規定」が設けられているためだ。しかし、純粋な恋愛や、結婚を前提とした「性」の場合まで犯罪になるのだろうか。無限定な適用は憲法違反にはならないだろうか−−。最高裁大法廷(寺田治郎裁判長)がこの問題をとりあげ、23日、15人の裁判官による初の憲法判断が示されることになった。直接争われているのは福岡県条例の規定だが、性非行の低年齢化の中で、全国の自治体、防犯関係者などの関心は高い。この規定の背景や運用の実情、問題点などを探った。(松本正記者)
 44道府県が条例で処罰 合意の有無を問わず
 ○50年代から制定目立つ
 つい最近、神奈川県藤沢市で、教え子の女子中学生と性関係を結んだ教師が逮捕される事件があった。18歳未満の少女との「みだらな性行為」を禁じた、同県青少年保護育成条例の「淫行処罰規定」に触れるとされた。起訴され、有罪になると、この教師は同条例の罰則で1年以下の懲役か、10万円以下の罰金を科されることになる。
 条文の表現や、量刑に多少の違いはあるものの、同様の「淫行処罰規定」は現在、東京、千葉、長野の3都県を除く、全国44道府県で設けられている。朝日新聞社が調べたところによると、それぞれ別表(略)のような制定状況となっている。
 青少年保護条例は、戦後の混乱による少年非行がピークを迎えた昭和25年、岡山県で制定されたのが最初。しかし、これは悪書の販売だけを規制したもので、淫行処罰規定を盛り込んだ条例の制定は、それから2年後の香川県が第1号。その後、神武景気などと呼ばれた好況を背景に少年非行が頂点に達した30年代後半、埼玉、群馬、新潟県が同様の条例を制定。続いて50年代に入り、それまで「必要なし」と条例制定に消極的だった多くの県が、当初から「淫行処罰規定」を含めた条例制定に踏み切り、また、「悪書追放」などだけにとどめていた自治体も、次々と条例の中に同処罰規定を新設した。
 ○憲法上から疑問や反対
 50年代の制定運動の背景となったのは、中学生、高校生らによる「少女売春」など性非行の低年齢化が深刻な社会問題になる中で、全国的に、PTAなどによる「子どもを欲望のはけ口とする悪い大人を罰する規定を」との陳情や請願が、各道府県の議会などに殺到したことだ。性非行などの抑制に有効な国の法律がなかったことが、その根源にある。例えば、刑法の強制わいせつ罪や強姦(ごうかん)罪は、13歳以上の未成年に対する行為については、暴行や脅迫などを伴った場合だけに適用が限られている。また、児童福祉法も、当事者の自由意思に基づく行為は処罰の対象としていないからだ。
 ほとんどの条例の規定は、合意の有無などを問わず、18歳未満の少女らとみだらな性交渉を持った相手方を一律に処罰できる内容になっている。また、強姦罪などでは、被害者側の告訴が処罰の要件となっているが、この条例ではほとんどの自治体で告訴を必要としていない。このため、京都、鳥取、山口、熊本など一部の議会では憲法上の観点から、疑問や反対意見も出された。しかし、大半の議会ではほとんど論議もなく、全員一致で可決された、という。
 ○警察の摘発、次第に慎重
 これらの処罰規定は、条文通り読めば、17歳以下の少年少女相手のセックスは結婚している場合を除き、すべて「犯罪」になりかねない。現実には、警察当局はどういう場合にこの“伝家の宝刀”を発動し、どんな場合に適用を避けているのだろうか。
 かつては、▼少女(17)が深夜、少年(18)の部屋を訪ね、自ら裸になるなどして性関係を持った(41年、旭川市)▼将来結婚を約束しあっていた18歳の少年と15歳の少女との行為(47年、帯広市)▼双方の両親とも同せいを認め、内縁関係にあった19歳の少年と17歳の少女との行為(49年、釧路市)など、純粋な恋愛行為の延長とみられるケースでも、少年の側にこの規定が適用され、家裁に送致された例があった。
 しかし、3件とも家裁の審判で、一般の刑事事件の「無罪」に当たる「審判不開始」となるなどしたため、その後警察当局の摘発は次第に慎重になってきた。
 現在では、全国の道府県警のほとんどが、「淫行(みだらな性行為)とは、結婚を前提としない、欲望を満たすためのみに行う不純な性行為をいう」とした、39年の東京高裁判例などを基準とし、結婚を前提としていたり、恋愛関係にあると認められる者同士の行為については、処罰の対象から除外するのが普通になっているようだ。また、「加害者」が18歳未満の場合は、ほとんどの条例が免責規定を設け、単なる“遊び”的な性行為であっても、処罰しないようになっている。
 各自治体の昨年1年間の摘発状況をみると、例えば青森県での検挙者は、暴力団員か、「セックス産業」の関係者に限られ、宮城県でも、暴力団員や暴走族が大半だ。また、栃木県、和歌山県では、売春行為で補導した少女の客となった者が検挙の主な対象という。
 山梨県では「人権擁護の面から適用には慎重を期している」(同県警)。また、神奈川県では、同処罰規定による検挙はすべて、県警本部の判断を求めることにしており、年齢や交際期間などを慎重に詰めたうえで、決めているという。
 しかし、微妙なケースがあるのも事実。先の藤沢市の教師と教え子のケースでは、教師は「将来結婚するから」と誘っていたといわれるが、警察は「まじめに結婚を考えていたとは思えない点がある」として、逮捕に踏み切ったとされている。
 警察庁保安部の調べによると、昨年1年間で、この規定により補導された少女の数は全国で4700余人。売春防止法、児童福祉法で補導された者の4倍強、全体の約4割に達している。また、同規定を適用、送検された相手方の男は4575人。大部分が略式裁判で終わっているが、中には実刑判決を受けている事例もまれにある、としている。
 「淫行の意味不明確」−−被告側 悪質事例に限定か−−最高裁
 最高裁で判決が言い渡されるのは、56年7月、福岡県遠賀町内のホテルで、当時16歳だった女高生と性関係を持った、当時同町在住の店員(30)のケース。起訴事実は、1回の性交渉だが、2審判決の認定によると、被告はその4カ月前、中学卒業直後のこの少女と知り合った日に性関係を持ち、以後、会うたびに関係、摘発されるまで20回以上にも及んでいた。
 「何人も青少年(小学校就学時から18歳未満)に対し、淫行、わいせつの行為をしてはならない」と定めた福岡県青少年保護育成条例10条違反に当たるとして逮捕、起訴され、1審の小倉簡裁、2審の福岡高裁とも罰金5万円の有罪判決を言い渡したため、被告が上告、第1小法廷で審理されていたが、今年4月、重要な憲法問題を審理する大法廷へ移された。
 被告側は、「『淫行』という言葉は極めてあいまい」「刑法、児童福祉法では処罰されない合意による行為まで罰するのは、不当」などと主張し、「何人も、法律の定める手続きによらなければ、その生命、自由を奪われ、またはその他の刑罰を科せられない」とする「罪刑法定主義」を定めた憲法31条違反だ、と力説。
 これに対し検察側は、「『淫行』という言葉は日常用語となっており、論ずる余地がないほど明確」「女子の性非行の増加、大人の青少年に対する性的節度のゆるみを背景に制定されたもので、合理性、必要性が十分ある」と反論している。
 憲法学者や、法曹関係者の間では、同県などの「淫行処罰規定」を文字通り解釈した場合には問題がある、との立場から、「最高裁は『淫行』の概念を相当限定した上で『合憲』との結論を導くのではないか」との見方が強い。その場合、参考になるのは(1)青少年に金品その他財産上の利益、もしくは職務を供与し、またはこれらを供与する約束をし、(2)もっぱら性的欲望を満足させる目的で青少年を威迫し、欺き、困惑させて−−と限定した上で、「青少年に対し性行為、わいせつ行為を行ってはならない」と条文自体に絞りをかけている大阪府や、山口県の規定。これらの条例は、制定が新しいこともあって、憲法問題などへ配慮がかなり尽くされているとみられるからだ。
 東京など規定なし 「現行法規で対応できる」
 こうした道府県に対し、東京都と千葉県では、青少年保護条例はあるものの、「淫行処罰規定」は設けられていない。また、長野県では、条例そのものさえない(長野市にはある)。このため、少女売春の相手方となるような行為は、他の道府県では処罰されるのに、この3都県では全く不問に付されるという奇妙な“地域差”が生じてもいる。
 なぜ制定しないか。不都合はないのか。この点について、東京都の担当部局では、「合意のうえの性行為は処罰にはなじまないし、処罰規定を設けてほしいとの目立った声もない。取り締まりは現行法規で十分で、規定を新設する考えはない」という。
 また、千葉県も、「不純異性交遊はそう多くなく、処罰規定は表立って論議にもなっていない」。さらに長野県の担当者は、「かつて制定を求める声が起きたことはあったが、住民の幅広い運動で健全育成を図った方が効果的、との結論に落ち着いた」と話している。
朝日新聞社 1985.10.21 東京夕刊 3頁 らうんじ 写図有


「淫行」の男に有罪確定 大法廷判決後の第1号
 17歳の少女に覚せい剤をうったうえ性関係を結び、覚せい剤取締法違反と佐賀県の青少年健全育成条例違反に問われた、同県唐津市栄町、無職穴井博被告(44)に対し、最高裁第1小法廷(谷口正孝裁判長)は5日までに、被告の上告を棄却する決定をした。福岡県青少年保護育成条例の淫行(いんこう)処罰規定を「合憲」とした10月23日の最高裁大法廷判決後の決定第1号。これにより、穴井を懲役1年8月の実刑とした1審判決が確定する。
 この決定は、同第1小法廷5裁判官のうち4裁判官の多数意見による。先の大法廷判決で、淫行処罰規定を「違憲」とする立場をとった谷口裁判長は、今回の事件でも反対意見を示し、青少年健全育成条例違反については「無罪」としている。
朝日新聞社 1985.11.06 東京朝刊 22頁 2社


「淫行」処罰規定での最高裁の判決理由(要旨)
 23日、最高裁大法廷で言い渡された福岡県青少年保護育成条例判決の理由要旨は次の通り。
 【多数意見】
 18歳未満の青少年に対する「淫行(いんこう)」を禁止処罰する福岡県青少年保護育成条例10条1項、16条1項の規定の趣旨は、一般に青少年が、その心身の未成熟や発育程度の不均衡から、精神的にいまだ十分に安定していないため、性行為等によって精神的な痛手を受けやすく、また、その痛手からの回復が困難となりがちである等の事情にかんがみ、青少年の健全な育成を図るため、青少年を対象としてなされる性行為等のうち、その育成を阻害するおそれのあるものとして社会通念上非難を受けるべき性質のものを禁止することとしたものであって、右のような本件各規定の趣旨及びその文理等に徴すると、本条例10条1項の規定にいう「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきではなく、青少年を誘惑し、威迫し、欺罔(ぎもう)しまたは困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交または性交類似行為のほか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような性交または性交類似行為をいうものと解するのが相当である。
 けだし、右の「淫行」を広く青少年に対する性行為一般を指すものと解するときは、「淫(みだ)らな」性行為を指す「淫行」の用語自体の意義に添わないばかりでなく、例えば婚約中の青少年またはこれに準ずる真摯(しんし)な交際関係にある青少年との間で行われる性行為等、社会通念上およそ処罰の対象として考え難いものをも含むこととなって、その解釈は広きに失することが明らかであり、また、前記「淫行」を目して単に反倫理的あるいは不純な性行為と解するのでは、犯罪の構成要件として不明確であるとの批判を免れないのであって、前記の規定の文理から合理的に導き出され得る解釈の範囲内で、前叙のように限定して解するのを相当とする。
 このような解釈は通常の判断能力を有する一般人の理解にもかなうものであり、「淫行」の意義を右のように解釈するときは、同規定につき処罰の範囲が不当に広過ぎるとも不明確であるともいえないから、本件各規定は憲法31条の規定に違反するものではない。
 【補足意見】
 ◆牧裁判官
 1 青少年との淫行の禁止及び処罰に関して、各都道府県条例が現状においては全体として著しく不均衡、不統一であり、これが憲法14条に違反するといえないまでも、合理的な実質的理由に乏しく、一国の法制度として甚だ望ましくないものといわざるを得ない。それ故に、各条例の青少年との淫行処罰規定の解釈及び運用においては、処罰に対し抑制的態度をとることが相当であり、右のような観点から、当該規定における用語の意味からかけ離れない限度内で、できるだけ処罰対象をその行為の当罰性につき他の都道府県住民を含む国民多数の合意が得られるようなものに絞って厳格に解釈するのが妥当である。
 2 現在のわが国において、多数から強い社会的な非難を受け、処罰に値すると考えられている青少年に対する性行為の類型は、第1に、青少年の無知、未熟、情緒不安定等につけ込んでなされる形態の性行為であり、すなわち、誘惑し、威迫し、欺罔しまたは困惑させる等の不当な手段を用いて行う性行為がこれに当たり、第2に、相手方である青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められない形態の性行為である。
 右の第1の形態のものに限るべきか否かについては、不当な手段を用いたといえないまでも、青少年を全く自己の性欲満足のための道具としてもてあそぶものと目し得る性行為は、青少年の育成・保護の精神に著しく背馳(はいち)し、現在における一般社会通念からして、到底許容できないものとして当罰性も肯認されるものと考えられる。右第2の形態に当たる性行為であるかどうかは、青少年及び相手方の年齢、性行為に至る経緯及び行為の状況等を基にして、健全な常識を有する一般社会人の立場で判断するときは、その判定が特に困難であるともいえないから、これを「淫行」の概念の中に含ませることが刑罰法規の中に曖昧、不明確なものを持ち込むことになるという批判も当たらない。
 ◆長島裁判官=略
 【反対意見】
 ◆伊藤裁判官
 憲法31条の要求する明確性の見地から考察するときは、多数意見の示すような限定解釈は一般人の理解として「淫行」という文言から読みとれるかどうかきわめて疑問であって、もはや解釈の限界を超えたものと思われるのであるが、私の見解では、淫行処罰規定による処罰の範囲は、憲法の趣旨をうけて更に限定されざるをえず、不当な手段により青少年との性交または性交類似行為がなされた場合に限られると解するのである。
 しかし、このような解釈は、「淫行」という文言の語義からいっても無理を伴うもので、通常の判断能力を有する一般人の理解の及びえないものであり、「淫行」の意義の解釈の域を逸脱したものといわざるをえない。このように考えると、「淫行」という文言は、正当に処罰の範囲とされるべきものを示すことができず、本条例10条1項の規定は、犯罪の構成要件の明確性の要請を充たすことができないものであって、憲法31条に違反し無効というほかはない。
 ◆谷口裁判官
 1 私は、「淫行」とは性行為、すなわち性交及び性交類似行為を意味する概念であると考えるが、犯罪の構成要件要素としての機能を果たすためには、右「淫行」の用語が違法行為の類型を示すについて必要にして十分なものでなければならない。「淫行」概念の内包としての性交及び性交類似行為は、人間の営む行為として、もともと違法・適法の価値判断に親しまない価値中立的行為である。かかる行為をして違法行為の類型を示す犯罪構成要件要素とするためには、他に何らかの要素が加わることが必要である。私は、「淫行」概念について、行為の違法性を示すためには、行為の相手方、動機、目的、行為について用いられた手段・方法、行為の行われた当時の付随事情等を示すことによりはじめて可能となるものと考える。
 多数意見は限定解釈の手法を用いて、「淫らな性行為」の意味をそこに述べるように手段に違法性がある場合とか、青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱っているとしか認められないような場合をいうとしているのであるが、私は、前者は解釈の枠を超え立法作業の範ちゅうに属するものと思う。次に後者の点についていえば、性行為一般がもともと性的欲望の充足を目的とする人の営為であることを思えば、右のように、「単に」といい、また、性的欲望を満足させるための「対象として扱っているとしか認められないような場合」といってみても、前記のような性格をもつ性行為一般を限定するものとしての機能を果たすものとは思われない。
 以上の次第で、私は、本条例10条1項にいう「淫行」概念は、犯罪の構成要件、すなわち違法行為の類型を示すものとしては明確性の基準に欠けるものとの非難を免れないものと考える。
 2 次に、私は、憲法31条はその規範内容として実体的適正処罰の原則をも含んでいるものと考えている。
 本条例にいう青少年のうち年少者(例えば、16歳未満の者)に対する性交または性交類似行為のごときは、手段・方法のいかんを問わず青少年の健全な育成を阻害する行為であって、条例をもってかかる行為を一律に処罰することには相応の合理性がある。しかし、本条例にいう青少年のうち年長者(例えば、16歳以上の者)に関する限り、その者に対する淫行を無限定に処罰することは、性的自由に対し公権力が不当に干渉するものであって、年少者、年長者をひっくるめて一律に処罰する本件各規定はとうてい適正な処罰規定というわけにはいかないであろう。
 3 以上に述べた理由により、本件各規定は少なくとも年長青少年との淫行を処罰する限りにおいて、刑罰法規の明確性、適正処罰の観点から考えて憲法31条に違反し無効と考える。
 ◆島谷裁判官=略
朝日新聞社 1985.10.23 東京夕刊 2頁 2総


見直し迫られる青少年条例(社説)
 18歳未満の少女らとのみだらな性行為を禁止し、その相手方を処罰する福岡県青少年保護育成条例をめぐる裁判で、重要な憲法判断が最高裁から示された。
 判決は条例の処罰規定を「合憲」としたものの、解釈面から限定を加え、「処罰される淫行(いんこう)とは、誘惑やおどしなど心身の未熟に乗じた不当な手段で行う性交やその類似行為、青少年を性欲満足の対象と扱っているとしか認められないような場合をいう」との考えを打ち出している。
 結婚や純粋な恋愛を前提とした性行為などを処罰対象から除外し、過剰規制の傾向に歯止めをかけるとともに、自治体によりまちまちの規定に統一的な運用基準を示したところがミソで、国民の行動の自由にも配慮した常識的な判断といえよう。
 青少年保護条例は、有害な環境から青少年を守る目的で有害図書の販売規制などを主な内容に制定されたが、性産業のはんらんや少女の性非行の増加を背景に、淫行処罰規定を設ける自治体がふえ、現在は条例自体をもたない長野と、東京、千葉を除く44道府県の条例におかれている。
 性非行の抑制に有効な法律がないため、その穴を埋めることにねらいがあるが、半面、裁判では(1)刑法や児童福祉法が処罰しない自由意思による性行為を条例で規制するのは憲法違反ではないか(2)処罰規定をもつ自治体ともたない自治体があり、規制がまちまちなのは、「法の下の平等」の原則に反しないか、などがしばしば争いになる。
 もっとも、それらについては過去の類似の裁判で、地方自治の建前から「合憲」の判断がくだっているので、今回は処罰規定が条例の趣旨、目的に照らし合理的で、過剰規制を誘発しない明確なものか否かに論点がしぼられた形だ。
 判決では、規定に限定解釈を加えて「合憲」とした多数意見に対し、3裁判官は「淫行処罰規定は明確性を欠き、多数意見は法解釈の域を超えている」などと、「違憲」を主張している。規定のあいまいさを厳格にいましめる主張にも説得力が感じられる。
 まず警察など取り締まり当局に判決の趣旨の徹底を求めたい。警察は条例の適用には慎重を期しているというが、最近の摘発例にも微妙なケースがある。
 つぎに都道府県に、判決の趣旨に沿った条例の見直しと改正を求めたい。どのような行為が処罰の対象になるのか住民によくわかるように刑罰法規は明確でなければならない。取り締まり機関による恣意(しい)的運用を防ぐためにも、それは必要である。
 44の条例の中には、十分な論議をつくしたうえ最近制定された大阪府や山口県条例のように、判決と同趣旨の規定をもつものもあるが、多くはあいまいな規定だ。罰則がまちまちなのも問題である。
 性情報のはんらんの中で、精神的に未熟な少女たちが罪の意識もないまま、おとなとの性行為で傷ついていく事態は放置できない。もとより、それは教育の場を含めた社会全体で取り組むべき課題だが、法による対応も1つの有効な方法といえよう。
 その場合、現行法の運用で対処するのも見識であり、多くの自治体のように青少年保護条例を設けるのも1つの行き方である。
 しかし、有害図書の規制をめぐり憲法上の論議があるように、その内容はとかく規制が広範すぎ、国民の自由を不当に侵すおそれのある規定が含まれている。真に規制すべきものを厳選し、処罰対象を明確化するため条例全体の見直しが必要ではないか。
朝日新聞社 1985.10.24 東京朝刊 5頁 5面






 なお、このページは、女教師の皆さんに、もっと男子生徒との恋愛に積極的になってはいかがですか!という当研究所の考えを、法律的な側面から示すものです。
 最高裁の大法廷も18歳未満との恋愛を認めています。
 男子生徒との恋愛、特に卒業生との恋愛に臆病になっていませんか?




ご意見・情報をお寄せください。
mary_kay2@infoseek.jp


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